うつ全般の客観的な入門本

うつで困ったときに開く本 (朝日新書)

うつで困ったときに開く本 (朝日新書)

割かし薄い本にまとめられているのはすごい。

【うつが増加する環境と背景、今後】

・職場にコミュニケーションできる雰囲気があるかが決め手

・うつ増加の原因:
  個人主義
  IT化(対面→E-mail)
  成果主義
  不況

アルコール依存の場合、節酒は難しく、断酒の方が簡単。(p160)

・北大の
傳田健三
氏いわく、子供も大人も次の傾向がある。
  凶悪犯罪、非行、校内暴力、家庭内暴力、自殺
  ↓
  不登校抑うつ摂食障害、引きこもり(内向)

・上記はアクティングアウト→アクティングインと呼ばれることもある。
 葛藤を自分の中に押し込めたり、攻撃を自分に加えたりして表すこと。

・最後のQ27、うつが増えているのはなぜ?では、
 多方面からの、また精神科医ならではの見地から色々な可能性を指摘しているのが素晴らしい。


 著者、香山リカといえば、精神科医の立場から離れた個人的な見解が著作にあり、避けられる人もいるようだが、
この本では極端な香山節は封印されていて、とても客観的に書かれているように感じます。これは、事実を具体的な論拠とともに提示し、自分の意見は控えめに書くというスタイルによるものだと思います。

 うつ全般の入門の本として良書と思います。